
FEATURE 06 NEIGHBORHOODとWTAPSのWネーム。


「近すぎてそんなこと考えていなかった。」
西山徹
あらためてコラボレーションというものを振り返ってみると、僕の記憶ではBROTHER HOODという名前でA BATHING APE®とPORTERとNEIGHBORHOODで作ったダイアリーを思い出します。当時はたしか携帯もない時代ですし、手帳があると便利な時代でしたので、コラボレーションだなんてあまり意識せずに作ったのが始まりでした。具体的に言うと、A BATHING APE®で使用していたファブリックを使ってPORTERと3ブランドでダイアリーを作りました。名刺を作ってみんなで喜んでいた、そんな時代だったんです(笑)。’90年代のその頃から仲が良かったですし、自然とこういうものが生まれる土壌がありました。当時は僕もNEIGHBORHOODのデザインを半分ほどやっていたので、コラボレーションもWTAPSではなくNEIGHBORHOODです。今回NEIGHBORHOODの25周年ということもありWTAPSと一緒に作りましたが、意外と一緒にやっていなくて、これで3回目くらいです。なぜ作ってこなかったかというと、近すぎてそんなこと考えてなかったのが実のところかも(笑)。そう考えると、滝沢伸介との付き合い方、一緒に歩んでいる意識が高まっている時期なのかもしれません。いまでも定期的に会うんですよ、伸ちゃんとは。食事をしたり、お茶したり。悩みごとの相談もたくさんしますしね。仕事場で会うことは珍しいですけど、そもそもは友達から始まった仲ですし、両親だってお互い知っています。そんな家族的な部分も多いから、喧嘩もよくしました。でも、いま考えると、ただ僕が子供なだけで、伸ちゃんは大人だった。


ブランドも20数年もやっていると、NEIGHBORHOODとWTAPSの関係もわからない人が多いと思いますし、僕たちにとってはあまりに近いブランドのコラボレーションですが、いままでほとんど一緒に作ってこなかったので、意外と違ったものに見えて、知らない人にとってはフレッシュに映るのかもしれません。20年前からこういったものを作るときに伸ちゃんって、「テツに任せるよ」といつでも僕を尊重してくれるんです。ジャッジも的確でめちゃくちゃ早い。今回も基本僕が考えて作って、伸ちゃんが見てくれる。市松模様を入れたのは、NEIGHBORHOODの25年目のゴールを僕なりにお祝いしたくて。フライトジャケットもジャングルシャツもパーカもスウェットもTシャツもベースはWTAPSです。デザインには僕からのささやかな気持ちを入れるだけ。フライトジャケットの袖裏のグラフィックは、それぞれにブランドの織りネームを100枚以上貼って、コラージュ的に実際の手を動かして作ったデザインをプリントで入れています。NEIGHBORHOODといえば、レザーなイメージなので、シンセティックレザーとナイロンを生地に使いました。ジャングルシャツのオリーブドラブはWTAPS限定、ブラックはNEIGHBORHOOD限定。スウェットなどは切ったり貼ったりカスタムしたようなデザインですが、これは二人でハーレーに乗っている頃からのチョッパー感覚です。NEIGHBORHOODのロゴを触るのは久しぶりでした。
思い起こせば、18歳のときに二人で清里にハーレーで行って、ハーレーミーティングに出たんです。初めての参加だったのですが、雨は降っているし、山道は霧が濃すぎて前が見えないしで、途中のコンビニの脇でダンボールを敷いて野宿したりしていました。今回のコラボレーションが久しぶりすぎて、こんな話をあらためてしていると、ちょっと二人だけのあの頃をおセンチに甘酸っぱく思い出したりしてしまいますね(笑)。
思い起こせば、18歳のときに二人で清里にハーレーで行って、ハーレーミーティングに出たんです。初めての参加だったのですが、雨は降っているし、山道は霧が濃すぎて前が見えないしで、途中のコンビニの脇でダンボールを敷いて野宿したりしていました。今回のコラボレーションが久しぶりすぎて、こんな話をあらためてしていると、ちょっと二人だけのあの頃をおセンチに甘酸っぱく思い出したりしてしまいますね(笑)。


「20数年経って、ようやく。」
滝沢伸介
当時の言葉でいうと、Wネーム。仲間内で一緒に作っていた頃はWネームと呼んでいましたね。コラボレーションって言い方もしていなくて、少しでも格好いい言葉を選んでみたくて、ジョイントワークと呼んでみたり(笑)。そもそも僕にとっては、90年代に、チャンピオンのヘビーウェイトボディをお店で買ってきて、プリントをのせてごく自然に作っていたのが、勝手なコラボレーション気分の始まりです。だからじゃないですが、WTAPSとのコラボレーションもコラボ感覚は薄めです。ファミリーで作っている感覚ですし、ごくごく自然に生み出されるものだと思っています。ですが、僕のNEIGHBORHOODの25年の記憶が正しければ、きちんとカプセルコレクションとしてWTAPSと一緒にものづくりをするのは初めてです。たとえば、ビートルズのポール・マッカートニーとジョン・レノンが一緒にやってもコラボレーションとは言えないと思うんです。だって、同じグループですからね。テツのWTAPSとの関係もそれと同じだから、いままでやってこなかったのだと思います。でも、今回一緒に作っているのは、お互い長く共にやってきて、二人のマインドがいい位置で交錯している、そんな時期だからだと思っています。20数年も経ちましたが、そういう時間がやっと訪れたのだと思います。あらためて思うのが、テツと一緒にずっとやってこられたのは奇跡だなと。すごく大事にしたいこと。バンドというものは少なからず解散するものですし、僕らも四六時中会っているわけではないのですが、山あり谷あり、もうヤダって時期もなかったとは言いませんが、誰でもあるようなそんなときを乗り越えていまがあるのは嬉しい限りです。


今回のコラボレーションはすべてテツに任せて作っています。なかなか、そういうスタンスを取ることはないのですが、テツだからそれができますね。作った5型も、テツがちゃんと説明してくれていると思います。コラボレーションっていろんな側面があると思うのですが、醍醐味は“非日常の面白さ”にあるのではないでしょうか。意外なことって面白いですよね。今回で言えば、一緒に作ってこなかった意外性と、テツがそれをどう表現するのか。普段あまりNEIGHBORHOODの服も見ていないかもしれないし。NEIGHBORHOODにはバイクのイメージをお持ちの方も多いと思いますが、意外とバイクものって出してなかったり。その代わりではないのですが、趣味の植物や釣りにまつわるコラボレーションをしていたり。いい意味でゲーム性があるのも醍醐味だと思っています。コマーシャルからインディペンデントまでNEIGHBORHOODではコラボレーションをしているので、どう感じるのかはみなさん次第です。
僕らはTシャツで会話する世代であり、スタイルで表現する世代です。ルールやセオリーにこだわってずっとやってきましたが、ストーンズを知らなくてもストーンズのTシャツを着てもいいじゃないかと近年ようやく思えるようになりました。もはや1曲の中で泣かせる役割を果たしてきたギターソロもなくなってしまった時代です。ストーリーもあるけど、ぱっと見のマインドフリーな感覚で、新しいものを受け入れられるように。話が逸れましたが、長く続けることで、気がつけば原宿の先輩ブランドになっていたので、25周年を機会に、押し付けがましいことはしないように気をつけていこうと思っている次第です。
僕らはTシャツで会話する世代であり、スタイルで表現する世代です。ルールやセオリーにこだわってずっとやってきましたが、ストーンズを知らなくてもストーンズのTシャツを着てもいいじゃないかと近年ようやく思えるようになりました。もはや1曲の中で泣かせる役割を果たしてきたギターソロもなくなってしまった時代です。ストーリーもあるけど、ぱっと見のマインドフリーな感覚で、新しいものを受け入れられるように。話が逸れましたが、長く続けることで、気がつけば原宿の先輩ブランドになっていたので、25周年を機会に、押し付けがましいことはしないように気をつけていこうと思っている次第です。

